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記事一覧

バルセロナ・テンペスト・11

 四章 SHERLOCK GAME・2「……つまり、どういうこと?」「俺たちはお前たちの手伝いをするが、お前たちにも俺たちの役に立ってもらう、ということだ。俺たちは俺たちで、スペインに友達ができるのは、ありがたいんだよ」 シオウが苦笑いしつつ、答えを引き継いだ。 日本を拠点とした彼らのアジア市場は、彼らの商売からすれば決して巨大な市場ではない。どころか、正直なところ、上司から正式に指定された拠点である日本は、市...

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バルセロナ・テンペスト・1

 *この物語はフィクションです。登場する人物名・地名・団体名等、一切現実のものと関係ありません。 *この物語は、『上海レクイエム』の続編です。 プロローグ『善とは何であるか』 電話に出るなりそんなことを言われ、私は返事もせずに電話を切った。 向こうからかけてきておいて、名前も名乗らずそんな質問をしてくる人物の心当たりなど、一人しかいない。 と思いつつ、事務机の隅にぽつんと置かれた据え置き式の電話機...

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バルセロナ・テンペスト・2

 一章 Puzzle Of Water・1 ジューダスから電話があった日の翌日、私は早速飛行機を使って、上海浦東空港に向かうことになった。 一人ではない。 シンも一緒だ。 シンは、私が教師だったときの教え子の一人なのだが、諸事情あって、いまはユンの仲間であり私の友人でもあるショージに預かってもらっている。 そして、訳あって、シンは現在、中国に出入り禁止となっている。 そのことから私はシンをつれて行くことに反対し...

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バルセロナ・テンペスト・3

 一章 Puzzle Of Water・2 とたんに、兄の顔が歪んだ。「いい加減にしてくれ!」 悲鳴のような声。「イサベルが、あんなことになって、私だってまだ混乱してるんだ。妻も、あの日以来、部屋から出てこない。……頼むから、これ以上騒ぎを起こさないでくれ」「…………」 ホセは、わかった騒ぎなど起こさない、とは言わなかった。 何故なら、既に騒ぎは起こっているのだ。ホルヘの知らないところで。そして、ホセには、その騒ぎを...

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バルセロナ・テンペスト・4

 一章 Puzzle Of Water・3「そんな女が、ロペスなんかに引っかかるかねぇ?」 セルヒオは死体の方を見なくて済むようにドアにおでこを引っつけたまま、うめくように言った。無論、ユンとて言ってみただけのことで、本当にそんなことが起こったなどと考えているわけではない。「……それにしても、お前たち、妙に落ち着いてるな?」 ロペスに向かって遅まきながら手で拝むポーズをした後、ユンはアレハンドロに向かってそう言っ...

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バルセロナ・テンペスト・5

 二章 バルセロナ・クエスト・1 バルセロナにあるプラッド国際空港に着いたのは、夜の七時頃のことである。「寒い。……スペインは、太陽の沈まぬ国じゃなかったのか」 空港を出るなり、私はひとつくしゃみをしてから、そんな文句をたれた。辺りは既に夜闇に沈み、太陽の姿など影も形も見当たらない。今夜は曇りらしく、月も出ていないし。「夜だもの。それに、スペインだって十一月ともなれば、もう冬だよ」 とシンは首をすく...

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バルセロナ・テンペスト・6

 二章 バルセロナ・クエスト・2「ちょちょちょ、ちょっと待って。ユンが言ってるのは、架空の物語のことで、現実的には私立探偵が殺人事件の捜査をするなんて、ありえない話で……」 あわててそう訴えたが、『待たない』 とユンは、ばっさり私の訴えを退け、『明日、午後に合流しよう。その時に詳しいことを依頼人から聞くといい』「い、依頼人?」『そうだ。無実の罪で裁かれそうになっている、気の毒な依頼人だ。……なんでも一...

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バルセロナ・テンペスト・7

 二章 バルセロナ・クエスト・3「シン!」 私はシンのケンカ魂と鎮めるべく、𠮟りつけるような声を出した。シンは不満げに唇をとがらせただけであったが、ここでようやくネイサンがシンに興味を示し、「君か、シンというのは。上海で、だいぶ暴れたらしいな。話には聞いてるよ」 と、初めてシンの方に顔を向けて話しかける。シンは特に嬉しげにもせず、肩をすくめて、「へぇ、僕のこと、知ってるんだ。それは光栄……」 と生意...

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バルセロナ・テンペスト・8

 三章 ALEJANDRO・1 ジューダスが、凪とシンが『コロンブスの塔』で撮った写真をメールで受け取ったのは、バルセロナ行きの飛行機が飛ぶのを待つ空港にいるときのことである。 無論、彼はバルセロナに行く気満々であった。せっかく起こるであろう騒ぎを見逃す手はないし、『ちょっとした微調整』を行うには、現地にいた方が何かと都合がいい。 ジューダスは、いったん彼の携帯電話に送られてきた画像を、彼が世話する老人の...

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バルセロナ・テンペスト・9

 三章 ALEJANDRO・2 スモは、思い出そうとするように首をひねりつつ、「……それこそ、ゴマンといるんじゃないか。ここに住んでいる連中だって、ここに住みたくて住んでいるやつらばっかりじゃない」「そんなことはない」 アレハンドロは、頑として首を横に振った。「ここに住んでいる連中は、ここにしか住めないから、ここにいるんだ。よしんば小金を貯めてもっとマシな場所に引っ越す連中がいたとして、でもそういう連中は理...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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オリジナル長編小説中心の小説ブログ。長編小説『バルセロナ・テンペスト』更新中。どうぞごゆるり……。

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