記事一覧

武将の世間話・ゴールデン武将

 戦国乱世、二人の武将が平成の休日について話しています。「平成の世には、『ゴールデンウィーク』なるものがあるらしい……」「……凍(こお)るねん!『う……ええ句(く)』……!? とある俳句大会で上様の詠んだ句が凍りつくほどの出来であったが、とっさに褒め言葉をひねり出したと申すか。……え?『春過ぎて 夏が来たから 暑いよね』……?……それは、上様、くそみたいな……いや……大変な名句を詠まれたものでござるな……!」(*ゴー...

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上海レクイエム・1

 *この物語はフィクションです。登場する人物名、地名、施設名等は現実のものとは一切関係ありません。 上海レクイエム プロローグ 撃ったのはショージだった。 取り引き交渉に使ったホテルの地下駐車場、突然物陰から飛び出した男はまっすぐにユンに向かっていった。他の者などいないかの如く、わき目もふらず。 男は手にナイフを握っていたが、ショージに撃たれた瞬間、それは手から滑り落ちた。カチン、と冷たい音を立て...

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上海レクイエム・2

 一章 鈍いナイフ・1 香港には、まだ手を出さない。ユンとシオウの意見は、それで一致していた。香港は、古くから中国裏社会で根を張る『チャン氏一族』のテリトリーである。ここ上海もかつては彼らの支配下にあったが、粘り強い戦いの末、いまはなんとか手中におさめている。彼らの古参の仲間である中国人のワンロンがリーダーを務める同盟グループ『マオジンシー』のテリトリーとして。 ユンとシオウは、徐々に、だが着実に...

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上海レクイエム・3

 一章 鈍いナイフ・2「……意味がよくわかりませんが」 ショージのセリフに対し、アヤセはそう眉をひそめた。「もともと二竜会は、リュウジが遊び仲間集めて作った、まあ、グループとも言われへんような集団やったらしい。それが、だんだん人数が膨れ上がり、リュウジの手腕で組織化していったんやな。けど、それにつれて、かつての遊び仲間たちがいっぱしのならず者になっていく……。リュウジは、そのことでえらい気を重くしとっ...

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上海レクイエム・4

 一章 鈍いナイフ・3「何か用ですか?」 イスに座るなり、シンはそう首をかしげた。それが、ひどく反抗的な態度であるように私には見え、「しらばくれるな」 と、つい取調室の刑事みたいなセリフを吐いて、シンの顔をにらんだ。シンは、平然と私の視線を受け止める。何故私が怒っているのかわからない、といわんばかりの平静さで。「……他のテストはちゃんと受けたのか?」 そうらしい、と知ってはいたが、一応そうきくと、「...

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上海レクイエム・5

 二章 Open Pandora’s box 嫌な予感的中や。 ショージは、凪がいつも使う駅に向かいながら、何度もこの言葉を胸のうちで繰り返した。昨夜、凪の話を聞いた後、なんとなく胸騒ぎがし、深夜というか早朝に大阪を発ったショージは、既に凪の住む町にいる。 ショージが、凪からの再びの電話を受けたのは、だから車中でのことであった。『痛い』 この不吉な言葉を最後に、凪の声は聞こえなくなった。が、ありがたいというべきかは...

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上海レクイエム・6

 二章 Open Pandora's box・2 ユンとシオウは、深夜になってからやってきた。二人は、関西の空港から自動車をとばしてやってきたという。 二人の姿を見た瞬間、彼らが私のことを心配して、とんできてくれたということが嬉しくて、笑顔になりかけたのだが、「凪」 と私の名をつぶやいたユンの声の不穏さに、自然と笑みが途中で凍り付いた。シオウの顔つきも、険しい。私は内心困ったなと思ったのだが、「なんだよ、二人とも、...

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上海レクイエム・7

 二章 Open Pandora's box・3                 * シンが姿を消してから、4日目。 シンがいないと、学校がつまらないな。 ソウタは空っぽのシンの席に目をやり、その日何度目かのため息をついた。机の上には日本史の教科書。クラスの担任であり、日本史担当でもある凪が休みであるため、黒板の前に立っているのは代理のタミネ先生だ。そのいかつい外貌と名前の響きから『ターミネーター』なるあだ名をつけ...

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上海レクイエム・8

 三章 Beginning of Requiem・1 お好み焼き屋『香月』は、道頓堀に沿う通りの片隅にひっそりと建っている。 店主のカキタニは、かつてショージの『餓鬼』に所属し、法に触れたり触れなかったりしていたが、今では足を洗い、ごく普通のお好み焼き屋の店主として生活している。……少なくとも表面上は。 ショージが『香月』の暖簾をくぐったのは、店が半休み中の午後四時。店内の電気は消え、ドアには『準備中』の札がかかってい...

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上海レクイエム・9

 三章 Beginning of Requiem・2 ツァンインは、ホテルの最上階にあるデラックススィートルームにいる。彼は息子が用意した豪邸(香港島にあるらしい)には目もくれず、創始者特権と称して、余程VIPな客でも来ない限り、その部屋を占領し続けているらしい。「ありがとうございます。ぜひ……」 しかし、シオウはツァンインを待たせておくことにした。というのも、普段からユンが、ツァンインよりもハオランを重視しているらしい...

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ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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