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記事一覧

上海レクイエム・6

 二章 Open Pandora's box・2 ユンとシオウは、深夜になってからやってきた。二人は、関西の空港から自動車をとばしてやってきたという。 二人の姿を見た瞬間、彼らが私のことを心配して、とんできてくれたということが嬉しくて、笑顔になりかけたのだが、「凪」 と私の名をつぶやいたユンの声の不穏さに、自然と笑みが途中で凍り付いた。シオウの顔つきも、険しい。私は内心困ったなと思ったのだが、「なんだよ、二人とも、...

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上海レクイエム・7

 二章 Open Pandora's box・3                 * シンが姿を消してから、4日目。 シンがいないと、学校がつまらないな。 ソウタは空っぽのシンの席に目をやり、その日何度目かのため息をついた。机の上には日本史の教科書。クラスの担任であり、日本史担当でもある凪が休みであるため、黒板の前に立っているのは代理のタミネ先生だ。そのいかつい外貌と名前の響きから『ターミネーター』なるあだ名をつけ...

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上海レクイエム・8

 三章 Beginning of Requiem・1 お好み焼き屋『香月』は、道頓堀に沿う通りの片隅にひっそりと建っている。 店主のカキタニは、かつてショージの『餓鬼』に所属し、法に触れたり触れなかったりしていたが、今では足を洗い、ごく普通のお好み焼き屋の店主として生活している。……少なくとも表面上は。 ショージが『香月』の暖簾をくぐったのは、店が半休み中の午後四時。店内の電気は消え、ドアには『準備中』の札がかかってい...

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上海レクイエム・9

 三章 Beginning of Requiem・2 ツァンインは、ホテルの最上階にあるデラックススィートルームにいる。彼は息子が用意した豪邸(香港島にあるらしい)には目もくれず、創始者特権と称して、余程VIPな客でも来ない限り、その部屋を占領し続けているらしい。「ありがとうございます。ぜひ……」 しかし、シオウはツァンインを待たせておくことにした。というのも、普段からユンが、ツァンインよりもハオランを重視しているらしい...

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上海レクイエム・10

 三章 Beginning of Requiem・3「バカにするな! とにかく私も行くから!」 私はそうキレた。もう何を言われてもきくものか、という決意はどうやらショージにも伝わったらしい。『……わかりましたよ』 とショージはため息とともに、吐き出した。『ほんなら、うまく空港までたどり着けたら、電話してください。迎えを寄こしますから』 と、付け加えられたので、私はまたカチンときた。「大丈夫、新大阪の駅まで行くから」 私...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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オリジナル長編小説中心の小説ブログ。長編小説『リオデジャネイロ・ライジング』完結。長編小説は『上海レクイエム』以降同シリーズの続編となっております。『ダチョウが空を飛んでいる』ぬるりと連載再開。どうぞごゆるり……。

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