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記事一覧

上海レクイエム・1

 *この物語はフィクションです。登場する人物名、地名、施設名等は現実のものとは一切関係ありません。 上海レクイエム プロローグ 撃ったのはショージだった。 取り引き交渉に使ったホテルの地下駐車場、突然物陰から飛び出した男はまっすぐにユンに向かっていった。他の者などいないかの如く、わき目もふらず。 男は手にナイフを握っていたが、ショージに撃たれた瞬間、それは手から滑り落ちた。カチン、と冷たい音を立て...

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上海レクイエム・2

 一章 鈍いナイフ・1 香港には、まだ手を出さない。ユンとシオウの意見は、それで一致していた。香港は、古くから中国裏社会で根を張る『チャン氏一族』のテリトリーである。ここ上海もかつては彼らの支配下にあったが、粘り強い戦いの末、いまはなんとか手中におさめている。彼らの古参の仲間である中国人のワンロンがリーダーを務める同盟グループ『マオジンシー』のテリトリーとして。 ユンとシオウは、徐々に、だが着実に...

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上海レクイエム・3

 一章 鈍いナイフ・2「……意味がよくわかりませんが」 ショージのセリフに対し、アヤセはそう眉をひそめた。「もともと二竜会は、リュウジが遊び仲間集めて作った、まあ、グループとも言われへんような集団やったらしい。それが、だんだん人数が膨れ上がり、リュウジの手腕で組織化していったんやな。けど、それにつれて、かつての遊び仲間たちがいっぱしのならず者になっていく……。リュウジは、そのことでえらい気を重くしとっ...

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上海レクイエム・4

 一章 鈍いナイフ・3「何か用ですか?」 イスに座るなり、シンはそう首をかしげた。それが、ひどく反抗的な態度であるように私には見え、「しらばくれるな」 と、つい取調室の刑事みたいなセリフを吐いて、シンの顔をにらんだ。シンは、平然と私の視線を受け止める。何故私が怒っているのかわからない、といわんばかりの平静さで。「……他のテストはちゃんと受けたのか?」 そうらしい、と知ってはいたが、一応そうきくと、「...

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上海レクイエム・5

 二章 Open Pandora’s box 嫌な予感的中や。 ショージは、凪がいつも使う駅に向かいながら、何度もこの言葉を胸のうちで繰り返した。昨夜、凪の話を聞いた後、なんとなく胸騒ぎがし、深夜というか早朝に大阪を発ったショージは、既に凪の住む町にいる。 ショージが、凪からの再びの電話を受けたのは、だから車中でのことであった。『痛い』 この不吉な言葉を最後に、凪の声は聞こえなくなった。が、ありがたいというべきかは...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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オリジナル長編小説中心の小説ブログ。長編小説『リオデジャネイロ・ライジング』完結。長編小説は『上海レクイエム』以降同シリーズの続編となっております。『ダチョウが空を飛んでいる』ぬるりと連載再開。どうぞごゆるり……。

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