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記事一覧

リオデジャネイロ・ライジング・35

 十二章 サンバの夜・2     *(あいつ、逃げる気だな) とラテーロは直感した。サイレンスの実力からみて、建物内へ逃げ込む、という行動は明らかに不自然で、だから、たぶん、(俺の相手なんか、してられねぇってわけか) ということであろうことは、容易に察しがついた。 ラテーロは、正直にサイレンスを追うことはせず、建物の外側を回って裏手へと向かった。(あの野郎、たぶん気づいてやがるな) ということに、...

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リオデジャネイロ・ライジング・36

 十二章 サンバの夜・3 あせったのは、カワタである。(話が違うじゃねぇか……!) と思い、それを口にしてここから立ち去ることが可能かどうか一瞬考えてみたが、セロ王子の威厳さえ感じさせる冷酷な表情と、突然の予定変更でナーバスになっている(いまのところ、表面上は)仲間である人々の様子をみるに、(……下手に刺激すりゃ、俺が真っ先にあの世行きだな) と、あきらめるしかなかった。 カワタが、そうあきらめた理由...

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リオデジャネイロ・ライジング・37

 最終章 The Greatest・1 車の中の様子がおかしいことに最初に気づいたのは、ルビア王子だった。(……運転席の男……?) も、さることながら、助手席の足元に不自然に盛り上がっているブルーシートも気にかかる。 ルビア王子は、『腹心』といえる配下の人々を特に選んで『サンバの夜』作戦に参加させているのである。その者たちに関しては、声や仕草、運転の癖まで熟知していると自認している。 ルビア王子のいる後部座席は、...

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リオデジャネイロ・ライジング・38

 最終章 The Greatest・2「撃つな!」 車の外に逃走したユンを撃とうとした部下を、ルビア王子は、銃を持つ手を押さえるようにつかんで止めた。少し離れた場所から、立ちすくんだようにこちらを見ている二人組の通行人がいることに気づいたからである。「かまうな、大事の前の小事だ」 ルビア王子は、車内にいる全員に向かってそう言い、「我々の狙いは、あくまでもクネイルだ。……この車は、もう使えない。この先は徒歩で行く...

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リオデジャネイロ・ライジング・39

 最終章 The Greatest・3「……キケル、失敗したな」 次いでセロ王子は、いつもの調子を取り戻し、からかうような口調でそう指摘した。ユンは元気に姿を現したし、彼の様子をみれば、日本から来た女探偵の方も健在であろうことは明らかである。「面目ありません。……やはり、殺し屋など頼むべきではありませんでした。いっそ、私が自分の手で……」 とキケルが謝ると、セロ王子は爆笑して、「バッカだなぁ、おかげで助かったって言...

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