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記事一覧

リオデジャネイロ・ライジング・5

 二章 歌姫とサイレンス・2 困ってユンを見ると、「……しっかりしろ、名探偵!……まあ、じゃあ、とりあえず奪い合いになっていた土地というのを見に行ってみるか?」 と、あきれつつもアドバイスしてくれたので、私たちはそうすることにした。「ここが、そうです」 とエンゾが案内してくれた場所は、有名な『コパカバーナ・ビーチ』が遠望できる白亜の豪邸であった。 周囲はホテルや各種店舗が軒を連ねている中、そこだけぽっ...

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リオデジャネイロ・ライジング・6

 二章 歌姫とサイレンス・3  シオウは、「お前がちゃんと前方を見ていなかったから悪い」というタクシードライバーの言い分をカワタに、カワタの「急に割り込んできたお前が悪い」という言い分をタクシードライバーに伝えながら、カワタに観察の目を光らせた。 平服姿のせいか、一見して傭兵とは、わからない。さすがにいい体をしているが、どちらかというとスポーツマンといった風情の男である。(いい兵士なんだろうが、議...

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リオデジャネイロ・ライジング・7

 三章 It's a Beautiful day・1 ユンと凪(とサイレンス)が、マナウスにあるアマゾナス劇場で、エレーナ・ムラカミの歌を聴いている頃、サンパウロのジュンギの居宅を訪れた者がある。『イワサキ』という名のその日本人は、現在は『C.O.B.』に所属する傭兵であるのだが、かつては、『餓鬼』のボスであった男である。 かつて、ユンとシオウ(と凪)と手を組んだショージによって、その座から追い落されるまでは。「悪い知らせ...

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リオデジャネイロ・ライジング・8

 三章 It's a Beautiful day・2 その男は電話をしながら歩いており、「例の件だが……」という日本語が漏れ聞こえてきたことから、日本人であるらしいことが察せられたが、問題はそこではない。(すげぇマッチョ!) であることが、シンの興味を強く引いた。 シンとて一応戦士の端くれである。(あのマッチョ、飾りじゃねぇな……) ということは、一目で見抜けた。いわゆるボディ・ビルダー的肉体美を目指した結果のマッチョで...

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リオデジャネイロ・ライジング・9

 三章 It's a Beautiful day・3「ねぇ、凪さん……」 ユンたちの英語の会話を聞くともなしに聞き流していると、ふいにエレーナが話しかけてきたので、私は若干あわてた。「は、はい、何でしょう?」「いやだ、緊張しないで」 私の『あわて』を『緊張』と解したらしいエレーナは、慈悲深い笑みを浮かべてみせ、「凪さんたちは、しばらくブラジルに滞在する予定なんでしょう? よかったら、明日にでも『アマゾン・ツアー』にでも...

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リオデジャネイロ・ライジング・10

 四章 Never Give Up・1 エレーナたちとの会食は、無事に済んだ、といっていいだろう。……たぶん。 食事の間中、終始お互いの腹を探りあうような空気が流れていたことは、私にさえわかったが、さりとて表面は至極穏やかに時が流れた。 食事が終了し、まずリデア王国の二人が帰ってしまうのを見送ってから、私はイチかバチかトライしてみることにした。 できれば、『ペッロラ・カステーロ』の情報が欲しいのである。そのため...

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リオデジャネイロ・ライジング・11

 四章 Never Give Up・2 ユンは窓から離れながら、「いるんだろうけど、姿は見えないな。……それより、エレーナは、何もかも知っていたようだな」「そうなの。『例の老人』は、手紙であらかじめ彼女に、事件のことについて全部知らせてたみたい……」 私は改めてエレーナ・ムラカミの言動を思い出し、ゾッと背筋を寒くした。私は彼女のことを、(無邪気な人……)という印象で見ていたのだが、あにはからんや。すっかり、だまされ...

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リオデジャネイロ・ライジング・12

 四章 Never Give Up・3「……はあ」 キケルは納得しかねたが、曖昧にうなずいておくことにした。(この御方は、若い上に、やや楽天家が過ぎるようだ……) と考え、しかし、(でも、それでいいのかもしれない。どの道、セロ王子の手を汚させるわけには、いかないのだから……) と考えて。すなわち、(面倒が起こる前に、あの探偵どもを始末しておく方が、よいかもしれない。それも、私の一存ということにして……) という思案が...

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リオデジャネイロ・ライジング・13

 五章 ALIVE・1 ふいに、嫌気がさしたのだ。 あのとき、と、ショージは凪たちを待つ空港のカフェテラスで、昔のことを脳裏によみがえらせている。 追い詰められた表情で必死に何か考えているらしい凪と、勝利を確信し悦に入っているイワサキ。『自分たちがヤバいことをしている』ことに、ただただ興奮している様子の、かつての仲間たち。(しょうもないんじゃ) とイワサキの横顔を冷ややかに見つめつつ、心の内でそう吐き...

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リオデジャネイロ・ライジング・14

 五章 ALIVE・2「やつを嫌いな理由なら、山ほどある」 鼻息荒く口火を切る。「まず、第一に、あいつの考え方が嫌いだ。保守的、といえば聞こえはいいが、要は事なかれ主義だ。だいたい、やつには野心というものがまるでない。あいつはな、『組織』が存在さえしていればいい、という安定志向、リスクは回避するためだけにあると思いこんでいるんだ。……いや、本人だけが、そうしたいと思ってそうするのならばいい。しかし、あい...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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オリジナル長編小説中心の小説ブログ。長編小説『リオデジャネイロ・ライジング』完結。長編小説は『上海レクイエム』以降同シリーズの続編となっております。『ダチョウが空を飛んでいる』ぬるりと連載再開。どうぞごゆるり……。

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