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記事一覧

リオデジャネイロ・ライジング・1

 *この物語はフィクションです。作中に登場する人物名や地名等は、現実のものとは一切関係がありません。 *この物語は『バルセロナ・テンペスト』の続編です。 一章 雷雲・1 マカオ国際空港に着き、空港から一歩外に出たとたん、まるでそれを待ちかまえていたかのように雨が激しく地面を叩き始めた。「……不吉な」 これから大仕事が待ち受けていることを薄々予感していた私は、つい、そんなセリフをつぶやいた。 雨に遅れ...

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リオデジャネイロ・ライジング・2

 一章 雷雲・2     * ユンも凪も知る由もなかったが、シオウとショージがいる大阪も激しい雷雨に見舞われていた。「ひどい雨だな」 アヤセとかいう『餓鬼』のメンバー(自称ショージの秘書、であるらしい)が運んできた茶を啜り、シオウは、ぼやくような声を出した。ユンから一報を受け、別の用事を大慌てで済ませて台湾から大阪に飛んできたのである。さすがに、疲れていた。「何、ほんの通り雨でしょう。すぐに、やむ...

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リオデジャネイロ・ライジング・3

 一章 雷雲・3 ジューダスは、懐から白い封筒を取り出し、私に向かって差し出した。「これが、老人からエレーナ・ムラカミにあてた手紙です」「確かに」 と私は受け取った封筒を一回顔の前にかざしてから、カバンにしまい、「花束の方は、何でもいいのか?」「いいですよ。お任せします。そんなものは、ただの口実に過ぎないんですから……」「ジューダスは、エレーナ・ムラカミに会ったこと、あるのか?」 と私は、自分が人生...

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リオデジャネイロ・ライジング・4

 二章 歌姫とサイレンス・1 途中、アメリカでのトランジットを含めて丸一日以上の時間をかけ、『ガレオン国際空港』に到着したときには、私は、くたくたに疲れ果てていた。さすが地球の裏側、ブラジルは遠い。 そして、暑い。 ブラジルは、真夏であった。日本もマカオも上海も冬だったのに。「凪、そのティーシャツ、よく似合ってるぞ」 からかうような口調でユンが言う『ティーシャツ』とは、アメリカの空港で急いで買った...

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