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記事一覧

リオデジャネイロ・ライジング・10

 四章 Never Give Up・1 エレーナたちとの会食は、無事に済んだ、といっていいだろう。……たぶん。 食事の間中、終始お互いの腹を探りあうような空気が流れていたことは、私にさえわかったが、さりとて表面は至極穏やかに時が流れた。 食事が終了し、まずリデア王国の二人が帰ってしまうのを見送ってから、私はイチかバチかトライしてみることにした。 できれば、『ペッロラ・カステーロ』の情報が欲しいのである。そのため...

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リオデジャネイロ・ライジング・11

 四章 Never Give Up・2 ユンは窓から離れながら、「いるんだろうけど、姿は見えないな。……それより、エレーナは、何もかも知っていたようだな」「そうなの。『例の老人』は、手紙であらかじめ彼女に、事件のことについて全部知らせてたみたい……」 私は改めてエレーナ・ムラカミの言動を思い出し、ゾッと背筋を寒くした。私は彼女のことを、(無邪気な人……)という印象で見ていたのだが、あにはからんや。すっかり、だまされ...

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リオデジャネイロ・ライジング・12

 四章 Never Give Up・3「……はあ」 キケルは納得しかねたが、曖昧にうなずいておくことにした。(この御方は、若い上に、やや楽天家が過ぎるようだ……) と考え、しかし、(でも、それでいいのかもしれない。どの道、セロ王子の手を汚させるわけには、いかないのだから……) と考えて。すなわち、(面倒が起こる前に、あの探偵どもを始末しておく方が、よいかもしれない。それも、私の一存ということにして……) という思案が...

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リオデジャネイロ・ライジング・13

 五章 ALIVE・1 ふいに、嫌気がさしたのだ。 あのとき、と、ショージは凪たちを待つ空港のカフェテラスで、昔のことを脳裏によみがえらせている。 追い詰められた表情で必死に何か考えているらしい凪と、勝利を確信し悦に入っているイワサキ。『自分たちがヤバいことをしている』ことに、ただただ興奮している様子の、かつての仲間たち。(しょうもないんじゃ) とイワサキの横顔を冷ややかに見つめつつ、心の内でそう吐き...

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リオデジャネイロ・ライジング・14

 五章 ALIVE・2「やつを嫌いな理由なら、山ほどある」 鼻息荒く口火を切る。「まず、第一に、あいつの考え方が嫌いだ。保守的、といえば聞こえはいいが、要は事なかれ主義だ。だいたい、やつには野心というものがまるでない。あいつはな、『組織』が存在さえしていればいい、という安定志向、リスクは回避するためだけにあると思いこんでいるんだ。……いや、本人だけが、そうしたいと思ってそうするのならばいい。しかし、あい...

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リオデジャネイロ・ライジング・15

 五章 ALIVE・3「…………」 ショージは……ものすごく重いため息をついた。ついてから、「わかった、わかりました。……おい、シン、そういうわけやから、お前、姐さんにあばら一本救われたと思って、しっかり恩を返すように!」 と背中でシンに言う。「ありがとう、ショージ!」 私は安堵とともに、そう礼の言葉を口にしたが、ショージは聞こえないふりをした。 まあ、そうは言ってもショージも本当にシンに怪我をさせるつもりは...

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リオデジャネイロ・ライジング・16

 六章 リオデジャネイロの怪人・1 エンゾの叔父さんが待つカフェに私とユンが着いたとき、既にそれらしい人物が、指定された通り一番奥のソファ席でコーヒーを飲んでいた。店の中に客は彼一人しかおらず、暇そうな店員さんが私たちを見て、ちょっと居住まいを正した。 私服姿のせいだろうか、警察官というより、どこの町にも一人はいそうな近所のおじさん、といった風情のエンゾの叔父さんは、私たちを見ると、あきれたように...

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リオデジャネイロ・ライジング・17

 六章 リオデジャネイロの怪人・2 ミカは、ブランコと同じく、ラーラの『神秘の力』など信じていない。(愚かな女だ……) とブランコがミカのことを思うのは、例えミカの思惑通りに事が運んで、『ペッロラ・カステーロ』が事件の首謀者であるという濡れ衣を着せられたとしても、確かに無傷では済むまいが、かといって教団を潰させない自信があるからである。 ブランコのもう一人の女王であるエレーナ・ムラカミは、ブランコに...

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リオデジャネイロ・ライジング・18

 六章 リオデジャネイロの怪人・3「今後は、私のことを『兄さん』と呼んではいけない」 とブランコが申し渡してきたのは、二人が、生まれ育ったファベーラと呼ばれる集落から引っ越しをした直後のことだ。 そう言われたラーラは、驚くというより、むしろあきれた。「え、どうして? じゃあ、なんて呼べばいいの?」 と問うと、兄は肩をすくめ、「ブランコ、と呼びなさい。その方が、かっこいいから」 と答えたが、ラーラは...

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リオデジャネイロ・ライジング・19

 七章 星の瞬く部屋・1『ラーラ様が、お会いになるとおっしゃっています』 というエレーナ・ムラカミからの電話には、ユンが出た。ユンのことを『探偵助手』と思いこんでいるエレーナは、『探偵さんにお伝え下さい』 と会談の手はずと時刻を述べてから電話を切ったのであるが、その『探偵さん』こと凪は、既にぐっすりと眠りこんでいて、電話が鳴ったことにも気づいていない様子である。(凪は、このまま寝かせておこう) 電...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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オリジナル長編小説中心の小説ブログ。長編小説『リオデジャネイロ・ライジング』完結。長編小説は『上海レクイエム』以降同シリーズの続編となっております。『ダチョウが空を飛んでいる』ぬるりと連載再開。どうぞごゆるり……。

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