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武将の世間話・2 雪男(メス)問答

 二人の武将が、とある雪男(メス)と話しています。 *とある雪男(メス)・深雪(みゆき)の話。「……だれかにとられるくらいなら、いっそころしていいですか……」 *武将たちの答え。「ならぬ! 恐ろしいことを申すでない! まあ、落ち着きなされ。そなたが、誰を思うておるか知らんが……。……え?『雪男の幸雄さんですよ! 彼、ここにも来てあなた方と話したって聞いてますよ!』? ああ、あの……変わった容貌をした御仁のこ...

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モスクワ・デスティニー・1

 *この物語はフィクションです。登場する人物名、地名、建築物名等、現実のものとは一切関係がありません。 *この物語は『モスクワ・ターゲット』の続編です。 プロローグ セロ王子を狙う人間離れした体格とパワーを持つ暗殺者ビドロを捕獲して一週間ほど後、とうとうリッヒ姫がモスクワ入りしたという報告が入った。 リッヒ姫はセロ王子の姉である。現在この姉弟はアジアの小国であるリデア王国の王位継承問題で対立してお...

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モスクワ・デスティニー・2

 一章 ゴースト・イン・ザ・スクール・1 私たちは念のため、マノヒャにもリッヒ姫がモスクワへ到着したことを知らせておくことにした。リッヒ姫とペインが、果たしてお互いの存在を知っているのかどうか、また、知っていたとして、二人が合流及び結託してこちらへ襲いかかってくるのかどうか、は、わからない話ではあるのだが。 代表してユンが電話をかけると、現在コヨゾミ村にいるというマノヒャは、『なるほど。どうやら事...

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モスクワ・デスティニー・3

 一章 ゴースト・イン・ザ・スクール・2 最初に、リッヒ姫が相談もせず勝手に王宮を脱け出したと知ったときには、(あの……ワガママ娘が!) と、さすがに腹を立てたのだったが、しかし、落ち着いてよく考えてみると、(いや、しかし……リデア王国で大事を起こすときには、リッヒ姫は国外にいた方が、むしろよいのではないか) フリュードは、アルドバドルの反クネイル派と組んで、両国の間で現在結ばれている休戦協定を破ろう...

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モスクワ・デスティニー・4

 一章 ゴースト・イン・ザ・スクール・3 ところで、「まあ……、マノヒャも、思いこみが激しそうだからな」 と、ユンが最後にぽつりとつぶやいたところを見ると、二人の関係について、ユンが心配しているのは、レベジェフではなく、むしろマノヒャの方であるらしい。 これは、私には少々意外なことであった。私からみれば、いかにも真面目そうなマノヒャより、レベジェフの方が口で言っていることと内心が違ってそうで油断がな...

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モスクワ・デスティニー・5

 二章 追跡者たち・1(これで、よし……) 電話をポケットにしまいながら、マノヒャは、ひとまず安堵のため息をついた。 列車は順調にモスクワを目指して走っており、窓の外の景色はさわやかに晴れ渡っている。 マノヒャに安堵の息をつかせたのは、凪探偵がレベジェフぬきの話し合いに応じてくれたから、ではない。 実はマノヒャは、同じ車内に尾行者の存在を見つけている。 それがペインではないこと以外、今のところマノヒ...

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モスクワ・デスティニー・6

 二章 追跡者たち・2 もっとも、それは願ってもいないチャンスでもあった。周囲に人目のある状況で座席に腰を落ち着けている人物を殺すのは、それしかないかと観念しつつも、できれば避けたいことだったからである。 しかし、その点についてはマノヒャも考えていた様子で、本来は決してそんな振る舞いはしないはずのマノヒャが、先に扉の前に立ち一番に降りようとしていたせっかちな乗客を、突き飛ばすようにして押しのけ強引...

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モスクワ・デスティニー・7

 二章 追跡者たち・3 もっとも、釘を刺されるまでもなく、トリョフもヌガミも、特にペインのことなど誰を相手にも語る気はなかった。 トリョフとヌガミのみるところ、おそらくコヨゾミ族が束になってかかってもペインを倒すことは難しいだろうし、幸いペインが狙うセロ王子は、現在レベジェフに匿われている。 要するに、余計なことを言って、下手にコヨゾミ族対ペインのトラブルを引き起こさぬ方がよい、というのが、トリョ...

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モスクワ・デスティニー・8

 三章 いわくつきの部屋・1 リッヒ姫は夜になるのを待って、トウカに電話をかけてみた。 今日も一日、トウカと会うことはなかった。 トウカの電話番号はフリュードから伝え聞いていたので、今朝、ホテルから出かける前に、リッヒ姫の方から電話をかけ、「とにかく、一度合流しましょう」 と、今度こそすれ違わぬように、リッヒ姫が宿泊しているホテルの近くにある、とある有名ホテルのレストランで待ち合わせることにしたの...

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モスクワ・デスティニー・9

 三章 いわくつきの部屋・2 話を聞き終わると、シオウは、『凪、俺たちは流しのボディガードじゃないんだぞ』 と文句を垂れた後、『しかし、まあ、確かにその状況でマノヒャをいつものホテルに送りこむわけにはいかなさそうだな。一応、ハオランに聞いてみるけど、部屋のことなら何とかなると思う。ほら、絶対に空いてる部屋が、一つあるだろう』「絶対に空いてる部屋……?」 シオウの謎の文言に、私は眉をひそめかけたのだが...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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元教師の女私立探偵と傭兵たちの冒険譚を描く長編小説のシリーズを中心にお送りするブログ。最新作『モスクワ・デスティニー』完結。

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