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ドバイ・イミテーション・27

 九章 クラッシュ・2 それでも、「マーロの仲間がいるってことですか? マーロというのは、リッヒ姫が雇っている傭兵の名前ですよね?」 とベルリは健気にショージの日本語を理解しようとつとめ、さらに、「ということは、やつら、合流して何事か企んでいるのでしょうか?」 と状況から推してはかって、眉をひそめてみせたが、「そういうんじゃ……ないやろな」 ショージは首を横に振って否定しておいてから、言ってもわから...

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ドバイ・イミテーション・1

 * この物語はフィクションです。登場する人物名、地名、建築物名等、実在のものとは一切関係がありません。 * この物語は「ロサンゼルス・ロストシティ」の続編です。 プロローグ セロ王子が、彼の自宅というべきリデア王国の王宮から、姿を消した。 という一報を受け、私はユンとともに『ラスベガス』へ向かった。 といっても、アメリカ合衆国はネバダ州にある、あの地ではない。 我が地元のショッピングセンターに併...

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ドバイ・イミテーション・2

 一章 ビフォー・トラベル・1 セロ王子が来ている、という報せを受けて、大阪にいたシオウがショージとシンを連れてやってきたのは、夕暮れ時のことである。「本当に来てるな」 と家のリビングでくつろいでいるセロ王子の姿を見て顔をしかめたのは、シオウ。 どうせそういうことになると思うから、というシオウにつれてこられたショージは、「厄介なことになりましたな」 と眉をひそめてうなずいたが、すぐに肩をすくめて眉...

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ドバイ・イミテーション・3

 一章 ビフォー・トラベル・2 言うなれば『裏切者』たちの名前が連ねられたそのリストの中には、セロ王子にとっては親戚にあたる王族の名前も含まれていたのであるが、(なるほど、そんなことがあったのか……) と、そのリストに目を通すのも初めてなら、そんなリストがこの世にあったことさえ初めて知ったセロ王子は少なからず驚いた。『ロンガ砦の戦い』が味方の裏切りによって敗北した事実は、王族たちの間でさえ固く秘され...

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ドバイ・イミテーション・4

 一章 ビフォー・トラベル・3 もちろんリッヒ姫は、ナバシスとルクスアウレ王の話を盗み聞くまで『エサル』などというテロリストがいることも知らなかったのであるが、ナバシスの報告によると、当該人物は『反王家グループに属するリデア王国人がアルドバドルに亡命して産んだ子』である可能性が高いという。 その手がかりを片手に、思い立ったら即行動の人であるリッヒ姫は、すぐにエサルという興味深い存在について調査を開...

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ドバイ・イミテーション・5

 二章 再会・1 十一時間のフライトの末ドバイ国際空港へ着くと、私たち(私とユン、セロ王子、シオウとショージとシンという計六人)はタクシーに分乗して、真っ先にホテルへ向かうことにした。 ドバイは、砂漠の中にある都市なのだが、一方でアラビア湾にも面しているのだそうで、当面私たちの活動拠点となるであろう『ブルーリゾート・ドバイ』は、海沿いの位置にあるのだそうだ。 広々とした道路を、タクシーはやや快調過...

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ドバイ・イミテーション・6

 二章 再会・2(ひょっとして、エサル……?) という思わぬ形で関係が深くなったテロリストまがいの傭兵の名を、しかし私は、ここで口にすることは避け、「そういえば、ロドトスは、どうしてるんですか?」 ラスベガスで戦った相手の消息を尋ねてみる。「いまのところ、大人しくしているようです。どうやらアメリカ留学をしたがっているらしく、学業そっちのけでバイトしまくっていて留年しかかっているのだそうで。……まあ、彼...

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ドバイ・イミテーション・7

 二章 再会・3「ねぇ、いつまで景色ばっかり見ていらっしゃいますの?」 豪華なベッドに寝そべってマーロの背中を眺めていたアニマが、それにもあきて思い切ってそう声をかけた時、マーロは自分の考えていることに没頭していて、正直なところ、そこに女がいることさえ忘れていた。 一方、アニマは、自分が存在ごと忘れられていた、など夢にも思わず、「ねぇ」 と、こちらもずっと考えていたことを口に出す決意を固めて、とり...

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ドバイ・イミテーション・8

 三章 人工島・1 サトー青年ことシュウイチは、私がまだ教育実習生だった頃の『生徒』であったのだが、「でも、あんた、名字は『イチノセ』じゃなかったっけ?」 一緒に来てほしい、というシュウイチの要請に、私はとりあえず即答を避け、そう眉をひそめた。私の記憶の中のシュウイチの名字は、確かにそっちだったはずである。 シュウイチは、軽く肩をすくめて、「名字が変わったんだよ。先生が教育実習終わって、学校に来な...

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ドバイ・イミテーション・9

 三章 人工島・2「本人は、どっちでもよさげに言ってましたけどね、本音かどうかはわかりませんけど。なんか、『自分にお鉢がまわってこなければ、それでいい』とか……」『ふむ?』『例の老人』は、もう一度うなずき、今度は少し面白がるように、『なるほど、小僧、自分は王位に興味なし、というわけか?』「そういう風なことは言ってました」 私はうなずいて、「それも本心かどうかわかりませんけど、ただ、いまのところ、セロ...

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プロフィール

ふじきよ なお

Author:ふじきよ なお
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元教師の女私立探偵と傭兵たちの冒険譚を描く長編小説のシリーズを中心にお送りするブログ。最新作『ドバイ・イミテーション』連載中。

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