武将の世間話・２ 雪女問答

　二人の武将が、とある雪女と話しています。

　＊とある雪女・幸恵（ゆきえ）の話。

「私、かねてよりお付き合いしている雪男の幸雄さんと一緒になりたいと思っているのですが、最近ぬりかべさんに告白されて心が揺れております……」

　＊武将たちの答え。

「ふぅむ、女心と秋の空、女性の心とは、かくも移ろいやすきものでござるのか……。……うちの嫁、大丈夫でござろうな。……え？『あんたの話はいいから、こっちの話、聞いて下さいよ。私、どっちと結婚したらいいと思います？』？　えぇい、わがままかつ身勝手な！……そうでござるな、しかし、やはり最初にそなたに求愛した幸雄殿がよいのではないか。やはり、最初に想いあった人と添い遂げる方が……。……え？『でも、せっかく告白してくれたのを断るのも、もったいなくない？』？　き、貴様、さては魔性の女か！」
「……え？『魔性なのは妖怪だから仕方がない』？　ふぅむ、こりゃ一本取られたかな」

（＊とある雪女・・・雪男とぬりかべの間で揺れ動く魔性の雪女、それが、雪女の幸恵である。自らの結婚問題に悩んだ末に戦国時代まで流れついた幸恵であったが、「メス型の雪男が幸雄さんに近づいてるらしいけど、正直、全然気になんないですねぇ。私とじゃ勝負になんないっていうかぁ……」……だそうです）